今回はwebデザインについて気づいたことを書いていこうと思います。小さな会社の経営者の方、広報担当の方、などwebに関わる方には少しは役に立つのではないかと思います。
webデザインとgraphicデザインは同じデザインだけどまるでちがうデザインなんだということを知らないと依頼する方も、つくる方も不幸になってしまいます。
まずなんと言っても、みんなの求めているものが違うといえます。webは美しさやかっこよさよりも、情報を求めている、ということに注目しないといけない。なぜならぼくらが生活者としてwebに接しているときを振り返ってみるとわかりやすい。ほとんどの目的は情報であって、美しさやかっこよさなんか求めでいないでしょ?!ところが依頼するほうにまわるとなぜか、かっこいいサイトをつくりたいとか、こだわった表現を独自性とカンチガイしてしまう場合が多く見られます。実はほとんどの人が、検索から来た場合、訪れたサイト名さえ覚えておらず、必要な情報だけ得て帰っていきます。
graphicデザインは逆に美しさやかっこよさを所有したい、ふれあいたいという人間の欲望を素に、それに対してアプローチするという役割があります。それが端的に表されているのがセールスデザインです。店頭プロモーションのパッケージデザイン、POP、それにロゴマークなど、商品の実力+イメージによって消費者に訴求します。イメージを変え、おもてなしなどの店頭の顧客満足度を上げることによって、売上が上がったというはなしはいろんなところで聞くことができます。
しかしこの考えをそのままwebに持ち込むと、大きな間違い、ボタンのかけ間違いを起こします。
webには3秒ルールがあります。3秒で目的をかなえることができなければ、さっさと他に移っていくというわけです。3秒以上の営業トークは無視されるメディアです。
近年「3秒ルール」を統計的に調査した事例がアメリカにあります。SmartBear Software社が2012年に調査したデータです。この調査によると、3秒を過ぎると57%のユーザーが訪問を諦めるという結論になっています。また、読み込み時間が1秒遅くなるとページビュー(PV)は11%減少、顧客満足度は16%下がり、コンバージョン率(CVR)は7%減少します。Amazonのような巨大なサイトの場合、1秒遅いことによって年間16億ドルの機会損失につながるというのです。
公益財団法人日本電信電話ユーザ協会
ということは、websiteにデザインを持ち込むときは情報をいかに早く取り出せるかのユーザーインターフェイスが重要であって、美しさやかっこよさにあまり意味がないということです。よほどのハイブランドではない限り、顧客の求めているものとはかけ離れている可能性があります。(それでもその3秒にあっと言わせるような興味をひく何かをみせて引き込みたいという冒険もあっていいのでしょうが、それを必要としているのは映像系制作スタジオのプロモーションサイトではないでしょうか。)
つまりwebデザインに必要なことは、トップのhomepageや、ランディングページはなるべく早く表示させるべきだということです。画像はなるべく少なく、大きくても構わないが軽い画像を使う、モノクロの画像などでデザインする。グリグリ動くようなかっこいいメインイメージを喜ぶのは、それをつくった制作者とそれによってブランド価値を生み出すと勘違いしたその企業だけです。
websiteを訪れる消費者はとても視野がせまくサイドメニューに表示された広告など殆ど見てないとおもったほうがいいのです。目的を持って訪問しているのでその情報だけを効率的に取得したい、そう思っています。ユーザーは自分の好きなもの以外一切見てくれません。
webデザインはマーケティングにとても近いものだと理解したほうがいいと思います。そう考えるとネット上のECショップだけで、すぐに売上を上げてもうけるという希望が難しいのがわかります。
まず知ってもらって、広く多く大量のユーザー情報を集め、それにメルマガやお得情報などを発信し、ステップメールなどのツールを使いアプローチをかけていく、このフローをふっ飛ばしてはまず売れないのです。情報を集めるために何を、どうするのかがwebデザインです。
その一つに、そのサイトをすきになってなんども訪問してもらうコンテンツが必要です。コンテンツに命を吹き込むがごとく、一所懸命考え、あそんで、つくり、訪問者に喜んでもらい、サイトをおぼえてもらう、ブックマークをつけてもらう。そこまでしてやっと認知されるわけです。
いずれにしても、webによる集客に爆発的なものはなく、少しずつしか伸びません。検索、広告、SNS、メール、アプリのいずれも爆発力はなく、2年、3年とふつうに時間をくわれます。
でも、いちばんうれしいのは、いいものを続ければすべてのものがストックしていくことです。訪問者のこころ、評判、信用、そこで初めてファンをつくりだすことができるのです。
ライフタイムバリューなんて考えは、ここを超えなければ意味のないことばです。
2年、3年とかかるけれど、いまからはwebを無視することなどできません。小さな会社にとってうまく運用すればこんなに素晴らしいものはありません。webデザインはとても重要なアイテムなのです