在國寺穂のZAIのスタートアップ語録

4 ベンチャー船のベクトル

下のプロフィールにある通り、これまでスタートアップの経営や経営企画室での仕事に携わってきた。

人を採用し、一緒に働き、そして転職していくのを数多く経験してきた。

今回は、誰かと新しく一緒に仕事をスタートする時の話。

僕が経営していた会社はもちろんのこと、経営企画室にいた数年間は、採用業務もチーム内で担当していたので、ほぼ全ての入社希望者の面接に参加していた。

もちろん、様々な年齢、キャリアの人と接して、長く一緒に働く仲間を見つけ出す(会社が払う給与も決める)のだから、こちらも気合いが必要となる。

会社に取ってプラスの人材か。所属するチームメンバーとうまく馴染めるか。個人のやりたいことが実現できるか……。

気になる項目は挙げたらキリがないけれど、良い人材であれば、何はともあれまずは一緒に働きましょう、3ヶ月の試用期間でスタートしましょう、ということで入社の運びとなる。

入社当日、朝10時、総務担当の女性社員から一通りの説明を受け終えると、経営企画室が担当する時間となる。

そのパートで、いつも自分が話していたのはこんな話。

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我々は、ベンチャー企業です。

ベンチャーという言葉の語源は、「冒険」を意味するアドベンチャーからきています。

会社は、目的を持ってそこに到達するための船のようなもので、その船に乗船している仲間は、それぞれの得意な役割を担っています。

大型フェリーのような大企業に比べると小さな船ですが、その分ベンチャーとして小回りの利くパワーボートみたいなものです。

入社初日の今日は、きっとフレッシュな気持ちでいると思います。

これから、3つのベクトルを意識して欲しいです。

1つめは、会社のベクトル。

会社全体がどんな目的を持って、どこに進んでいくのかを知ってください。

これは、経営企画室が社内外に発信していきます。

2つめは、チームのベクトル。

今日から所属する部署が、会社全体の中でどんな役割を持って、どう貢献しているか、していこうとしているのかを知ってください。

これは、今日の午後から所属していくチームで改めてコミュニケーションして感じ取ってください。

3つめは、個人のベクトル。

この会社に来たのは自分の意思で、自分がやりたいこと実現したいことを叶えるためだと思います。

今思っている、自分のやりたいことの方向性をしっかりと意識して仕事をスタートしていってください。

入社初日の今日は、概ねその3つのベクトルは合致していると思います。

ただ、同じところで長く働いていると、ほぼ必ず、その3つのベクトルはちょっとずつズレていきます。

会社や部署のベクトルに違和感を感じるようになったとしても、今日入社したあなたの力でその2つのベクトルはすぐには変わりません。

なので、その2つのベクトルと、自分のベクトルの向きがどうなっているか、たまに俯瞰しながら、仲間とコミュニケーションしていってください。

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スライドを使いつつ、こんな話をしていると、僕の担当パートの時間が終える頃にちょうどお昼となり、その流れで所属する部署のメンバーも連れてランチに行くことが定例化していた。

(そのランチが僕の自腹だったことは、当時の役員たちは知らないだろう笑)

会社のベクトル、チームのベクトル、個人のベクトルをしっかり意識して腹落ちして働けている人は、自分の立ち位置を正しく認識して、会社やチームをリスペクトし、仕事に夢中で取り組んでいる。

この3つのベクトルを意識すると、どこに課題があるか、変わるべきは何か、人のせいにしない生き方のヒントが得られるように思う。

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