どんな産業も、生産量がふえれば、価格はさがります。
たとへば、農業生産はこの何十年で飛躍的にたかまりました。でも、農業が発達すればするほど、商品はやすくなります。効率が上がれば上がるほどやすくなり、それに従事するひとは少なくなります。
前回お話したように、間違いなくAIにより、クリエイティブワークは自動化に近づきます。
つまり、生産効率があがるわけです。それにつれて単価はおち、いらない人が増えていく。
とはいってもすぐにというわけではないでしょうが、AIができない部分を人間がするみたいなことになっていく。いまよりも、もっとクリエイティブワークは作業になっていく。
こんな状態は、多分この道を選んだ人は望まないし、くだらない仕事に従事したくないでしょう。
はっきりわかっていることがあります。AIは良いか悪いか、好きとか嫌いとは理解できないということです。
なにを言いたいかというと、命令する、選ぶというのは人間がしなければいけないのです。
制作現場で考えると、アートディレクター、コピーディレクターのかわりをAIがすることはできないんですが、デザイナーはどこにでもいるような実力しかなければ、かなりあぶない。クラウドソーシングなんかで、じつはAIがデザインしたものが採用された、なんてことはおきるでしょうね。(もしかしたら、実験でいま、実施しているかもしれませんよ)
つまり、AIは北斗七星(目標)を見つけることはできないが、将来的にはデーターを基にその目標を最短で進む方法はみつけることができるかもしれません。そこにむかって線路を引き、列車を走らせるのはAIと人間の共同作業となるでしょう。なにせ、AIはシュミレーションが得意で、休む必要がありませんから、飛躍的に効率があがる。AIを導入しない理由はなんにもないわけです。むしろそうしなければ、競争に負けて倒産する場合だってあるかもしれません。
残念ですが、AIにできないたぐいの、くだらない仕事がふえつづけ、自分の仕事は「意味も重要性もない」とかんじるようになるかもしれません。
そして、大きなところが、もっとお金をあつめ、労働にたいする給与が少なくなる可能性がある。業界は小さくなり、勝者の数は少なくなる。みなさんが大好きな、大規模商業施設ができると、地元の小規模な商店をあっという間に破壊させたように。
こんな話をすると、世の中が大きく変わって、なんだかすごいことが起きているようにおもえますが、単に労働が移動しただけ。人からAIに移っただけです。クリエイティブといってもAIという機械ができるようなことしかしてなかったということがはっきりしただけではないかと思います。
結局、つくるという行為はこの先AIでもできる。ストーリーを考え、その漫画をかくことはAIにできる。エヴァンゲリオンだって作れる。
でも、エヴァンゲリオンという北斗七星をみつけて、その基本となるデータをつくりあげるのは人間でしかできない。それを楽しみ、それを喜び、それを苦しみ、それを生きがいにするなんてAIにはできない。
いまからのデザイナーは、あたらしい世の中を提案し、つくりだす人。そうならざるをえない。AIをつかって、労働を移動した人がもうけてお金持ちになるなんて、あってはならない。
あたらしい人生をつくりだすところにお金が集まってくる、そんな世の中をつくりだすデザイナーが今からのデザイナーだ。そのデザイナーがAIをつかえばいい。
今日のまとめ
・どんな商売も、効率が上がれば上がるほどやすくなり、それに従事するひとは少なくなる。
・AIがつくりだすクリエイティブワークは、くそみたいな仕事か、AIをつかうディレクターか、どちらかになる。
・でもそれは、単に労働が移動しただけにすぎない。
・いまからのデザイナーは、あたらしい世の中を提案し、つくりだす人。そこにお金が集まってくる。
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