まるごとデザイン

結局、クリエイターも経済を知らないとね

ぼくのポケットのお金はどこから

ぼくはデザイナーという商売を40年近くやってきて、クライアントの商品を売ることと、見積もり請求書を書く、困った時に借り入れをする、ぐらいが経済的行為だったわけです。そう言えば返済が滞って追徴金を取られるなんてこともありました。あとはそれに関する周りのいろいろを見聞してきたわけですが、世の中がどう動いて、その結果、ぼくのポケットにお金が入ってくるなんて深く考えてもみなかったわけです。


白状すると、世界が経済学者と言われる人たちの手で動かされているということなんて何にも知りませんでした。とりあえず生きるためには必要とする知識で十分だったんですね。

あ、すいません。これはデザインやクリエイティブでいかに儲けるかとか、そんな話ではないんであしからず。もしそんな話を知っていましたらぜひメールいただけるとうれしいです。

なぜそんなことに興味を持ったのかというと、デザインとかクリエイティブって結局世の中の仕組みの中で機能しているわけです。小さな会社でもあふれるばかりに仕事を受注することができるときは、な~んにも考えなくってもいいんです。世の中のおこぼれをもらっているくらいで精一杯なわけですから。

でもそのやり方だとほぼ間違いなくうまくいかなくなる。なぜか?たぶん多くの人は自分が必要とされなくなったんだと考えますよね。でも実はゲームのルールが変わったために仕事が減っているんだと気づかない、場合だってあるわけです。

ブランドの証券化

そのルールというのは経済のことです。資本主義は、世界も一人ひとりの生活も、経済(市場)を中心に動いています。その経済を動かしているのは何なのか?その尻尾を知ったのはつい最近です。なぜいままでそれを知ろうとしなかったのか、「そんな難しいことはお天道様に聞いておくれ」ってかんじでほっておいたわけです。
たとえばケインズを知らずして経済学を語ることなかれ、ともいわれるケインズはこう言っています。

経済学者と政治哲学者の思想は、それが正しい場合にも間違っている場合にも、一般に考えられているよりはるかに強力である。実際のところ、市場を支配しているものはそれ以外ほとんどない。どのような知的影響もいっさい受けてないと信じている実務家たちも、たいていは誰かしらの過去の経済学の奴隷である。

ジョン・メイナード・ケインズ『雇用、利子および貨幣の一般理論』

市場を動かす、経済学者と政治哲学者の思想が世の中を動かしている。経済と政治はコインの裏表、庶民にとってこれがお天道様なんですね。ぼくらが何を言っても何も変わらないから放っておいて、目の前の生活をよりよく生きればいいと思っているわけです。


でもね、このお天道様、最近ではぼくら庶民から随分離れたところを照らしているようで、モノやサービスを商品として儲けようとしても、なんとも効率の悪い手間のかかる商売にしてしまいました。

モノを価値のある商品に変えてお金を2倍に増やすという市場は実に古くなってきてるわけです。デザインもクリエイティブと言われているものも、実はこの部分のお手伝いをしていたわけですから、一緒に古くなっているわけです。

いま、お金を2倍にも3倍にも増やしているのはお金自身です。お金の商品化と言っていいのでしょうか?いま、お金が属している会社や商品・サービスの期待値がお金の価値を上げたり下げたりしているわけです。「株」とか、「いいね」の証券化とか言われています。


当然、人間の証券化も起きてきます。パーソナルブランドです。商品や会社の証券化はブランドです。つまり、ブランドはデザインの話だけではなく、経済の話でもあるんですね。もしかしたらサブプライムローンのようなブランドバブルが、今つくられているのかもしれません。まあ、どこまでもぼくの考えにすぎませんが。ただ明確に言えるのは、デザイナーと言えども、今からは経済に明るくなければ飯は食えない時代になる。そう、思いませんか?

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