片山「だからそれを仏教では煩悩と言うらしくって、あらゆる苦しみが生まれてくるっていうのがまあ仏教的な考えらしいのですが、ただ僕たちは煩悩にまみれて苦しんだり、その中でたまに喜びをつかんだりして生きているわけですよね。
で、文学っていうのはその中でどういう生き方を手探りしているかというと、やっぱりその固有ということだと思うんですね。その人だけのやっぱり人生というか生というか、そういうものをなんか言葉の世界で探り当てようとしているようなところがあって、特に近代文学ってのはそういうものになっているような気がします」
ヒガシ「固有ってのはわかりやすいですね」