在國寺穂のZAIのスタートアップ語録

8 悲観的に準備して、楽観的に行動する

僕が卒業した高校は、文化祭や体育祭が活発なことで有名だった。

イベント事が好きな僕は、文化祭員や、体育祭の競技のリーダーとして参加することでそれらの行事を楽しんだ。

ただ、今その当時を振り返ると、その行事当日のことはほとんど覚えていなくて、その前日までの準備期間のことが深く思い出に残っている。

基本的なアイデアを出したり、みんなで議論したり、メンバーに動いてもらうにはどうしたら良いか考えたり、、、

どうやら、何らかの目的を持って、期日に向けてみんなでワイワイ準備を進めるプロセスが好きなのだ。

そして、当日がきたら、深く考えずに楽しむ。これだけ準備してきたんだから、あとはうまくいくだろう、という感覚。


これは、スタートアップ的な働き方と合致するように思う。

通常、スタートアップは、短いスパンで大きなリターンを獲得する目的で組成される。

つまり、「いつまで」に、「どんな状態」になっているかが重視される。

目的・目標を設置し、そこに最短でどんなプロセスで到達するかを、繰り返し繰り返し高速回転するイメージ。


そのプロセスにおいて大事にすべき基本姿勢は、「悲観的に準備して、楽観的に行動する」というメンタリティ。

人はあまりに先の長い目標を設定しても何をしたらいいか分からないし、やる気も湧いてこない。

あくまで短いスパンでクリアすべき細かい目的・目標を設定する。そこに目を向けると、現在地とのギャップが見えてくる。そして、何を準備して積み上げていけばそこに到達できるかのシミュレーションを精緻に行っていく。

このシミュレーションの際には、悲観的に、ネガティブに、重箱の隅をつつくように、うまくいかないことや最悪のケースを想定しておく。横柄にならずに、正しくビビることも大事なのだ。一見、いつも自信がみなぎっているような振る舞いをしている経営者もその実、表に見せないだけで普段は細かいところが気になったり、いつも不安な状態でいることも少なくない。

そうして、しっかりと準備してシミュレーションができたら、あとは楽観的に、ポジティブに、自信を持って大胆に行動するのみ。

誰よりも、これだけ考えてきた、やってきた、という準備積み上げがあれば、誰よりも楽しんで行動したら良い。

その様子を見ている周囲にも、その想いやスタンスは自然と伝わる。

これが逆に、準備段階では楽観的に捉えていて、いざ実行段階になった時にあれが足りないこれが足りないと焦ったりすると、自信のない振る舞いになる。


サッカーの本田圭佑が日本代表だった頃、試合後のインタビューで繰り返し語っていた、「次の試合に勝つために、またしっかり準備するだけです」という言葉が印象的だった。

彼の密着ドキュメンタリーを観ると、他のチームメイトの誰よりも圧倒的に事前準備に力を注いでいるのが分かる。

本番で良いパフォーマンスを出すことは、日々の準備の延長でしかないと強く感じさせる。

誰よりもそこをやってきているという自負があるから、本番で自信を持ったプレーができるし、何より自分自身が楽しめるように思う。


いつも謙虚に準備し、いざという時は大胆に、自信を持って行動するという気概を持って日々過ごしたいと思う。

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